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ひといき

小山裕久の作り方:3

続きです。
海外の方のインタビューは、日本とはまた違った視点の事が多いので、
とても新鮮です。

Q:基本だけどすごく大切なステップは何ですか?例えば、鰹だしを作ること?
A:基本だけどすごく大切なステップ、もうこの言葉の中に全てが込められていると思います。
 基本がすごく大切な訳ですよね。
 例えば鰹出汁を作るという事は、美味しい鰹出汁にするのに業者から削った鰹節を買うか、本物の鰹節を、鱗を取って血合いを取るという大変困難なカチカチの鰹節から、本当に日本料理のいいお出汁を作る鰹節を作り出す事を基本の時にきちんとやっておくと、どこかの仕入れ先から鰹節を削ったものを買ってもそれがいいかどうかも分かります。
 基本の時にいい料理屋で本物の日本料理をやっているところで基本をきちんとこなしていく、そのことはやがて始まる大きな仕事に向かっての、大変大切な基礎になると思うので、何事もきちんとやること、それはでも、全ての仕事に通じる事だと思います。

Q:焼物、揚げ物、煮物を学ぶ前に、基本な技術の勉強は何年ぐらいかかりますか?
A:多分、3年くらいはかかるんですかね、それはまあ包丁を使う、あるいは調理場の片付けをする、食材を見分けをする、整理をする、道具の出し入れをする、いわゆる仕事ができるようになるのにそのくらいかかるんでしょうね。
 そのくらいしっかりしていれば、実は焼き物ってどういう事かを教えてもらったり、揚げ物はなにかとか、煮物はなにかということを学んだら、そこから先は実は知識と技術なんですよね。
 知識と技術が行われる為には、基本的な物事に関する取り組み方ですね、言われた事を正確に復唱したり、仕上げて行くとか確実にこなして行く、そういうことが元々身に付いている人は早いと思いますが、学生をしたり、自由な料理を作って来た人は基本を覚える前に基本的な人生観というか、正確な仕事をしないことには立派な料理はできないので、そこのところが大切だと思います。
 それ以上そこでかかるようだと、反対に遠いところには行けないので、諦めて中途半端な料理人になった方がいいと思います。

Q:一つの料理の段階はどのぐらいかかりますか?
A:一つ目の料理の段階は3年、あるいは5年かも分かりません。
 しかしそれさえきちんと出来れば、焼き物を焼く、いわゆる串を媒体として炭を使ったり、ガスや電気を使ってものを焼くという事が、焼く為にはどんな風に切ればいいかとか、どんな風に盛りつければいいかという事が分かれば、それが炭ではなくて油になっただけで、食材をどう処理するかで温度と油の管理ですから、どんどん早くなって行くと思います。
 一番最初の一つが早めにクリアをすると次々と料理を覚えて行くのは一つ目がしっかりしていれば、基本がしっかりしていれば一つ目がしっかりできる、それさえできれば後はどんどんくる仕事を自分の整理方法でやって行けば割合簡単にできると思いますよ。
 しかし、物事簡単な事は何一つないので、少し時間が早くなるかもしれませんね、というのが正しい答えでしょうか。

Q:すべての料理が完全にできるまで、何年ぐらいかかりますか?
A:ここまでにお答えして来たので、もうお分かりと思いますが、全ての事は最初の3年くらいの基礎がしっかりしていれば、要は、本棚が有れば本は入る訳です。
 本棚の出来ていない人間にいくら本を渡しても、そのとき本が積んであって、次の本が来たらその本を片付けてまた本を置いて行く、というのではいつまでたっても書庫はできないし、書庫全体を見る司書にもなれない。
 ですから、最初の3年というのは実はこれから沢山納品されてくる本をどんな風にして棚に並べていくかという、どんなに本を並べても崩れない立派な本棚、紙でできた本棚よりは木がいいし、木よりも石で出来た本棚とか、何万冊の本が来ても大丈夫なような書庫を作るという風なことになるのでしょうか。
 それさえ出来れば、あとは本人の努力ですし、結局はどこまでいっても努力がなくなることはないと思います。
 私自身も今でも努力をしていますから、努力を続けられるという事が時間の短縮なのか、何年かかって早く終わらせたいという事がよくわからないですよね。
 料理という世界で人生を送って遊ぶ事ができるようになれば、それが何年かかったらできるということではなくて、この先何年続けられるか、こんな楽しい事を何年できるのかなということを考えるだけのことなので、ご質問の答えになるかどうかはわかりませんけども、時間は関係ないと思います。

Q:焼物、揚げ物、煮物を学び時の要点と難しさを簡単的に説明してください。
A:先ほどから何度かお答えはしているので、もう一度整理してお話してみます。
 焼き物というのは、中国料理のいくつかの焼き方と、日本料理の焼き物という意味合いで言うと、少し言語や文字の違いは有ると思いますが、一般的には日本では本来炭で焼きます。
 しかし今、炭で魚を焼いている料理屋は大変少ないんですよね。
 まあ都会だということもありますから、電気であったりガスであったりすることも非常に多いと思います。
 本物という事で言うと、炭以外にも、薪で焼くとか幾つかの方法があります。
 そういうことを含めて、基本的には熱源がいくつかある、ガスには特有の臭いがついていたり、電気は遠赤外線が出にくいとか、炭火は実は一番高温になるし最高の焼き物を作る燃料ですけれども、非常に天然資源の枯渇している中で良い炭が少ないということもあります。
 しかし本当に炭で焼いたのがどんな事かというのが分からないことには、次の仕事には本当には行けないと思いますけれども、要は空気を媒体として食材に火を通すのが焼き物ですね。
 揚げ物というのは、食材に油を媒体として熱を通して行くということだと思います。
 もちろん油の種類によって、ごま油やサラダ油やオリーブオイルによって香りが違ってきます。
 同じように沸点も違いますね。揚げ上がりも違います。勿論色も違います。そういう色んな事を学べば、揚げ物というのは簡単なのかもわかりません。
 それから煮物、これは実は大変難しくて、煮るということでいうと、液体が介在する訳ですね、水とか出汁です。
 それで、ものを柔らかくする為に煮る、いわゆる下処理ですね、その為に煮るという事と、調味した液体で味を含ませて行く、調味する事と調理する事が同時に煮物の場合は存在する訳です。
 焼き物の場合は焼くまでに塩をしたり、お醤油に漬け込んだりして味がついているものを焼きます。
 揚げ物は大体は味がつかないので油で揚げた後にソースやお塩を振ったりして食事をするようになっていますね。
 ところが煮物は食材の中に塩分や糖分や色んな風味を付け込んで行く、それも実は液体の中でやる訳ですよね。
 ですから、下処理と調味が同時に行われたりする訳ですよね。
 特に日本料理の場合は行平鍋と行って、炎の火立ちが左右の鍋肌に当たるように作られています。
 ですから、下からの火で温度を上げて、食材に火を通し、周りの火足の頂点で液体の臨海面をじりじりと煮詰めて濃い調味液を作り出して味付けをして行く、そんなことを同時に行う事が日本料理の煮物の極意なんですよね。
 そのことまで分かって、野菜を炊いたり煮物を煮たりすることができるようになると、大変面白いんですけども、なかなか日本料理の世界でもそこまで分かって料理をしている人は少ない事が現実です。
 ですから、液体が美味しいというと、それだけでいいと思っているけれど、実はあの人の煮物は美味しいとか、あそこは野菜がおいしいとか言われるのは、実はそこのところの極意を会得した人間がいる料理屋にのみ与えられる称号だと思います。
 ですからそれぞれ一番難しいところをご説明したという風に思ってください。

Q:途中であきらめる人が多いですか?
A:この世の中は、全ての人間が頂点に立つ事が出来ないというのは当たり前の中で、人間には精神の優劣や体力の優劣、あるいは環境の変化に耐えられるか、あるいは運命の悪戯によって色んな事がおこる、その中で方針が変わるのは当然の事であって、なにも我々の業界だけが途中でやめる人が多いとか、違う業界が多くの人が成功へ導けるというのであれば、それはそれぞれ行き着くレベルが違うのではないかなという風に思います。
 人の世では、全てが同じだと思うので、日本でも香港でも全く同じだという風に思います。

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次回で終わります。

日時: 2010年01月30日 21:39
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